お絵描き

保育園に入ってすぐの4月、お絵描きの時間というのがやってきたのをよく覚えている。

昨日行った遠足の思い出を描きなさい、というものだった。

周りの子は嬉々として描き始めるのだが、わたしは何十分もなにも描けずに他の子の様子をうかがっていた。

絵を描くのは大好きだったが、「絵を描く」という芸術的な才能を他人に晒すという行為に戦慄していたのである。

アホかと思うかもしれないけど本当にそうだった。

結局残り5分か10分というところで、友達が話しかけてくれたことがきっかけで何とか1枚かき上げて提出できたのであった。